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花相撲

アイキャッチ画像はウィキペディア(Wikipedia)より引用

本場所の時期以外に行われるイベント寄りの相撲興行を「花相撲」と言います。地方巡業・大相撲トーナメント・チャリティー相撲・神社やお寺で行われる奉納相撲・引退力士の断髪式を行う引退相撲などの事をさし、花相撲での勝敗が番付や給金に反映されることはありません。

花相撲の名前の由来は、細かくは端折りますが、奈良時代の「相撲節会(すまひのせちえ)」で勝った力士に祝儀として花を贈ったことが始まりとされています。相撲の普及と言う意味もありますが、興行を通して贔屓客から支援金をもらう太いパイプをつないでおくという意味では今も大きく意味は変わっていません。

花相撲の魅力は何と言っても取組の合間の余興「お好み」です。

相撲の禁じ手や珍しい技をコント仕立てで演じる「初っ切り」、歌に自信がある力士による「相撲甚句」、床山による人気力士の「髷結い実演」、呼出による「太鼓打ち分け」、横綱の「綱締め実演」など、力士や裏方の素顔や相撲の伝統を覗くことができちゃうのです。

本場所よりもチケットがとりやすいし、取組以外にも色々あるので、地方に住んでいてなかなか相撲を見に行けない人や、相撲初心者でも楽しめるんじゃないでしょうか。

 

花相撲で見られる余興「お好み」

 

子ども稽古

巡業でのお楽しみの一つが子ども稽古。巡業先の出身力士を中心に4~5人の力士が地元の子供たちに稽古をつけます。稽古と言っても、ちびっこが何人がかりで押しても力士はびくともせず、振り回されたり担がれたりして見ている方もおそらく土俵上の本人たちもすごく和みます。

稽古をつけてもらうちびっこはマッチ棒みたいな子どもばかりかと思いきや、数年たてば部屋に入門できそうな体つきの子が出てきて会場もどよめいたりしてなかなか楽しませてくれます。

幕内で活躍する遠藤は小学生の時に巡業で元横綱・朝青龍に声をかけられたことから相撲に本気で取り組むようになったという話ですから、この中に将来の関取がいるかもしれません。

 

太鼓打ち分け

開場を知らせる「一番太鼓」の他、今はお好みでしか聞けない幻の「二番太鼓」、打ち出しの時に櫓から打つ「跳ね太鼓」など、何種類かのたたき方を呼出が解説しながら実演してくれます。

 

初っ切り

幕下以下の力士が決まり手や禁じ手を実演してくれるのが初っ切りです。力水を口から相手に吹きかけたり、小道具が出てきたり、プロレス技の応酬を繰り広げたり、吉本新喜劇にも引けをとらない突っ込みをしたりと、本場所なら一発退場なコミカルなパフォーマンスでお客さんは大いに湧きます。2人の力士だけが役者かと思っていたらそれまで普通だった行司もコントに参加し始めたりして笑いが絶えません。

本当は反則負けで取組は終了するのですが、初っ切りに限っては、行司が「本来なら反則負けのところを、格別の情けをもって」と反則が出るたびに繰り返し、取り直しになるのも面白ポイントです。Youtubeなどでも見れるので気になる方は見てみるとよいでしょう。

 

相撲甚句

相撲甚句は七五調のはやし歌で、力士が歌う民謡です。歌の内容は巡業地の名所や力士にちなんだもので、合いの手も相撲らしく「あ~どすこいどすこい」と言った感じです。以前は相撲甚句に合わせて土俵上で相撲の技を模した踊りを踊っていたそうですが、現在は土俵中央にいる相撲甚句の歌い手を5~7人の力士が囲んで合いの手を入れるスタイルになっています。

相撲甚句は相撲教習所の科目にも入っており、力士のたしなみとして伝統が受け継がれています。現役力士で相撲甚句がウマいのはダントツで勢で、相撲を引退したらそのまま歌手になれそうないい声なので、花相撲で勢の相撲甚句が聞けたらラッキーですよ。国技館のイベントでは相撲甚句ではなく、のど自慢大会があることもあります。

 

横綱の綱締め実演

横綱の綱は、締めて登場するのは見たことはあっても、実際に締めるプロセスはあまり見る機会がなく、この実演ぐらいではないでしょうか。綱締め実演は、付け人・幕下力士が6~7人がかりで「えいえいえい!」と掛け声をかけながら横綱の綱を締めます。実演中には綱の素材や作り方、綱の意味や型の解説などが入ります。

 

髪結い実演

力士の髷を結う床山と人気力士が登場して、土俵上で大銀杏を実演で結ってくれます。櫛裁きが見事過ぎてまさにショーです。大銀杏を結うまでにかかる時間は早くても20分。その間、解説とともに鬢づけ油の良い香りが会場に漂います。

 

引退相撲・断髪式

「引退相撲」は他の花相撲と同じように取組もお好みもありますが、引退した力士の髷を切る「断髪式」がメインイベント。髷に鋏を入れるのは力士生活でお世話になった人たち。

具体的には、家族・恩人・友人・同期・後援者などで、それぞれが土俵中央に紋付き袴姿で座る力士にねぎらいや門出を祝う声をかけながら少しずつ髷に鋏を入れていきます。鋏を入れる人数は力士によっても違いますが、多い時で300人以上にも上ります。最後には部屋の師匠である親方が「止めばさみ」を入れ、髷を完全に切り落とします。

ちなみに切ったまげは記念にとっておく人が多いのだそう。

引退相撲は協会ではなく、引退する力士本人です。この時に出場する力士会に所属する力士は無償で興行に参加し、収益は引退力士へのご祝儀として渡されます。そのため、引退相撲が決まった元力士は力士会へ挨拶に行きます。

通常、30場所以上幕内を務めた元関取は本場所のない期間に国技館で引退相撲をすることが出来ます。

あまり知られていませんが、力士だけでなく、行司が引退するときも引退相撲を行うことが出来ます。特に立行司は、髷はないけれど軍配を次の立行司に渡す引き継ぎ式がありますから、この目的で引退相撲をするんです。

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