相撲の仕組み
付け出し力士を除き、新弟子検査を合格した新弟子にとっての初土俵が前相撲。この時点では番付に載ってないのでまだ力士とは言いませんが、力士の初土俵として記録されるのは前相撲デビューの場所です。また、序の口で一番 でも取れば全敗でも番付外になる事はないのですが、ケガや病気で全休してしまうと番付外に降格して前相撲からやり直す決まりです。
現在幕内で活躍する竜電も以前ケガで十両から番付外まで落ち、再び前相撲からカムバックしました。
前相撲は通常本場所の3日目から序の口の取組前に行われ、新弟子の多い三月場所は2日目から行われたりもします。 1日1番が基本ですが、数番取ることもあります。この取組順は若者頭と呼ばれる力士養成員の監督役が決めます。
前相撲を見てみたい人は、朝8時25分から国技館に行ってみましょう。
前相撲は三月場所は2番、それ以外は3番勝てば勝ち抜けて次の場所から序の口の力士として番付に載り、誰もいなくなるまで続きます。
晴れて力士となり、番付に名前が載ることを「出世」と言います。この時に初めての四股名も貰えるわけです。前相撲は通常本場所8日目まで行われます。
三月場所だけは本場所12日目まで続いて、5日目までに 勝ち抜けたら「一番出世」、9日目までに勝ち抜けたら「二番出世」と言い、最悪全敗でも序の口の番付が一番下なだけで出世はできますのでご心配なく。
戦前は前相撲では仕切りはせず、順番も決めず、いきなり取組が始まっていたので「散らし取り」と言われ、本番とはいえど稽古のようだったので「飛びつき」とも呼ばれていました。
現在は1回仕切りを挟んで立ち合いとなって います。
出世が決まった新弟子は三段目取組途中の勝負審判が交代するときに「新序出世披露」を行い、力士(正確には力士 養成員)としての顔見せをします。
新序出世披露は通常本場所8日目に行われますが、三月場所に限っては一番出世 をした新弟子は5日目、二番出世なら9日目、三番出世があれば12日目にも行われます。この初めての晴れ舞台では 親方や兄弟子たちに化粧廻しを借りて土俵上で紹介されるのですが、体格がまだまだで化粧廻しに着られていたり、 表情がめちゃめちゃ硬かったり、蹲踞に慣れていなくてふらついたりと、新弟子たちの初々しい姿がほほえましい ですよ。
とはいえ実際はここから本当に自分の化粧廻しを締められるようになるのは一握りという厳しい世界に足を 踏み入れるわけです。この後新弟子たちは協会の各部署へ自己紹介の挨拶回りをします。
新序出世披露の他にも新弟子たちには大事な仕事がまだあります。それが千秋楽の表彰式終了後に行われる「出世力士手打ち式」。これはこれからの力士としての人生の門出を祝うアットホームな雰囲気の儀式で、土俵上に上がって若者頭や世話人と一緒にお神酒を振る舞われ、観客も一緒になって三本締めをします。その後は土俵に宿った神様をお返しする「神送りの儀」もやります。仰々しい名前とは裏腹に、 やることは一番格下の行司を新弟子皆で胴上げするというもの。
大幣(おおぬさ、棒に白い紙が付いた 神道の道具)を持った行司を胴上げしている様は儀式とはいえ思わず笑ってしまうシュールさがあります。 新弟子が多い時にしかこの胴上げは見られないので、ちょっとレアな儀式でもあります。
前相撲で出世を果たした次の場所には序の口に昇進でき るので、晴れて番付デビューということになります。
番付表に名前が載るのは誇らしいもので、これまで 支えてくれた人や後援者に自分の四股名が載った番付表を送って報告できることは嬉しく気持ちが引き締まる ことでしょう。
とはいえまだまだ序の口。文字も小さい し書体も江戸文字という相撲独特のものなので虫眼鏡を 使っても怪しいほどの読みづらさです。
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