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十両・幕内の土俵入り

十両以上になると、取組前にその日の取組の東西に分かれ、化粧廻しをつけて「土俵入り」をします。これは観客へのお披露目の意味プラス神事として地の邪気を払い清める儀式でもあるのです。

場所の奇数日には東から、偶数日には西から土俵入りがスタートします。化粧廻しから取組用の締込に着替えるため、十両土俵入りは幕下ラスト5番、幕内土俵入り・横綱土俵入りは十両の取組終了後に行ってその後休憩を挟みます。

土俵入りの時の関取の化粧廻しは、スポンサーや後援会、力士の趣味などで色々で楽しめます。土俵入りは関取も気合いが入るのか、若い関取は、高校球児がキャップのツバを折る感じで土俵に上がる時化粧廻しの先っちょをピンと立てたりしていて面白いですよ。

 

十両・幕内土俵入りの流れ

1. 花道から行司を先頭に番付が下の関取から入場。

2. 四股名・出身地・所属部屋のアナウンス紹介と共に関取が二字口から土俵上へ。この時、力士は観客に不敬がないよう「シィー」という声で警告する「警蹕(けいひつ)」という伝統的な所作を密かに行っています。とはいえ人気力士や地方場所でのご当地力士は、十両であってもお客さんが湧きます。

3. 土俵に上がった関取は勝負俵の外側を反時計回りにゆっくり歩き、所定の位置に着くと観客側に向いて立ちます。

4. しんがりの大関や関脇などが土俵に上がり、全員揃ったら内側を向いて清めの所作をスタート。江戸時代は幕内力士が少なかったので全員で塵手水と右2回左1回の四股を踏みとせりあがりをしていたそうですが、人数が増えてからは柏手を打ち、右手を上げ、化粧廻しを持ち上げるという形に簡略化されました。

5. 最後に両手を上げて丸腰のアピール。琴奨菊なんかは両手を高々と上げてルーチンの一つにしてたりなんかもします。

 

横綱土俵入り

幕内土俵入りが終わればいよいよ大相撲の番付の頂点「横綱」の土俵入りです。横綱が2人の場合は東の横綱が奇数日、西の横綱が偶数日に先に土俵入りをし、3人以上の場合は番付順にローテーションします。

現在、横綱の土俵入りにはせり上がりの型が2種類ありますが、昔は色々あったそうです。諸説ありますが、10代目横綱雲龍と11代目横綱不知火の土俵入りの型がそれぞれ「雲龍型」と「不知火型」土俵入りの元とされており、実際に型として確立したのはそれぞれ20代目横綱梅ヶ谷と22代目横綱太刀山なのだとか。どっちを選ぶかは横綱昇進時に力士本人が部屋の師匠と相談して決めるみたいですが、一門によって傾向があるようで、出羽海・高砂・時津風一門は雲龍型が殆ど。全体で見ても雲龍型の土俵入りが多いです。

横綱の化粧廻しはお供の露払い・太刀持ちとセットになっていて「三つ揃え」と呼ばれます。最近では、引退してしまいましたが横綱稀勢の里がマンガ「北斗の拳」の北斗3兄弟の三つ揃えの化粧廻しをつけて話題となりましたよね。露払いと太刀持ちは、基本的には同じ部屋の関脇以下の幕内力士が、部屋に幕内力士がいない場合は同門力士が務めます。ちなみに横綱の太刀持ちや露払いを務めたからと言って報酬は出ません。横綱がお小遣いをくれたりはするみたいですが、お金よりも名誉の意味の方が大きいでしょう。

 

横綱土俵入りの所作

行司・露払い・横綱・太刀持ちの順に花道から入場すると土俵入りの所作がスタート。
まず二字口のところで柏手を一つ打って塵手水を切り、横綱だけ中央へ。露払いと太刀持ちは勝負俵の中には入らず、土俵に上がった上げ俵の前あたりで蹲踞し、行司は横綱から見て向う正面側にいます。横綱は仕切り線をまたぐように正面向きに立ち、柏手を打って四股踏み、せり上がり。続いて右・左の順で四股を踏んだら土俵際まで戻って柏手・塵手水をして皆で土俵を降りて退場します。せり上がりの迫力や、四股のときの「よいしょ~!」の掛け声は横綱土俵入りの醍醐味!

 

雲龍型(うんりゅうがた)

攻防一体型とされる土俵入りスタイルが「雲龍型」。横綱鶴竜はこちら。化粧廻しの上からつけている綱の結び目が一つで、左手を曲げて脇腹に添え、右手を前方に広げせり上がります。

 

不知火型(しらぬいがた)

横綱白鵬が行う土俵入りは「不知火型」。こちらは綱の結び目は2つで、攻撃主体の型とされ、両手を前に広げてせり上がります。白鵬は在位も長いので、土俵入りの時の目力もすごくてオーラがありますよ。

 

「横綱」の意味

実は横綱が土俵入りの時に化粧廻しの上から巻いているしめ縄を「横綱」と言います。横綱という番付も「綱取り」という言葉も元はこの白麻のしめ縄から来ているんです。この横綱は国技館での本場所前に必ず一門総出で「綱打ち」を行い作ります。土俵入りで軽々と四股を踏んでいるように見えますが、長さ4~5m・重さ10㎏と普通の人にしたらまあまあの重さなんです。

 

露払い

露払いは神事や大名行列の時に高貴な人々を先導する人のことを意味します。土俵入りでも同じように「横綱」という高貴な人を先導しています。露払いより太刀持ちの方が格上とされ、番付が上の力士が務めることになっています。

 

太刀持ち

太刀持ちは横綱の後ろを歩き、横綱の太刀を運びます。太刀先を袱紗(ふくさ)に包んだ状態で運ぶのですが、実は中は竹光で真剣は部屋に置いてあるそうです。それでも太刀は重く、土俵入りの間中蹲踞して肩から水平に太刀を掲げ続けるのはけっこうキツそうです。

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