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土俵上の作法

相撲は興行であると同時に神事。そして土俵は神聖な場。なので、取組前には儀式として様々な所作をしなければなりません。現在に受け継がれている所作は1つ1つに古くから伝わる意味があります。また、所作が美しい力士は仕切りの時も見ていて飽きません。これも相撲の楽しみ方の一つと言えるでしょう。

 

1. 土俵に上がって互いに一礼

呼出が力士の名前を呼び上げたら、力士は徳俵の手前の「二字口」と呼ばれる場所に上がり、互いに揃えてお辞儀をします。

 

2. 四股を踏む

それぞれ東の赤房下、西の白房下に行き、花道の方を向いて拍手を打ち、四股を踏みます。四股は地中の邪気を踏みしめるという意味を持ちます。幕内の遠藤関などは、男前なだけでなく足が綺麗にピンと上がって所作にも定評があり、仕切りで四股を踏むたびに拍手が起こったりします。若手では宇良や阿炎の四股も綺麗なので注目してみて下さい。

 

3. 力水をつける

十両以上の関取は、柄杓に入った力水を口に含み、力紙で覆いながら水を捨てて身を清めます。どこに水を捨てるかというと、実は土俵には口をゆすいだ力水を捨てる排水口が埋め込まれています。力水は前の取組の勝者か、次の取組の控えの力士がつける決まりになっています。例外的に控えの力士がいない結びは付け人が力水をつけます。

 

4. 塩をまく

土俵に入る前は清めと安全を祈願して土俵に塩をまきます。塩のまき方も、たくさんまく力士もいればひとつまみちょろっとしかまかない力士もいてそれぞれ個性があって面白いです。

 

5. 蹲踞(そんきょ)・拍手・塵手水(ちりちょうず)

背筋をのばしたままつま先立ちで膝を曲げてしゃがみ、手を膝の上に軽くおくのが「蹲踞」の姿勢です。相手や土俵を敬う意味があります。その後揉み手をして拍手を一つ打ち、両手を上に向けて広げて肩の高さまであげ、手のひらを下に返す「塵手水」をします。塵手水には、昔手水がないときに代わりに草や空気で身を清めたのが由来で、手に武器を持たないことを相手に見せるという意味があります。

 

6. もう一度四股踏み

仕切り線のところでもう一度四股を踏みます。

 

7. 仕切り

所作が一通り終われば仕切りとなり、待ちに待った取組が始まります。制限時間内だったり、両力士の呼吸が合わなければ塩をまくところからもう一度所作を行います。本当は力士の呼吸が合えば制限時間前でも取組はスタートできちゃうのですが、最近では制限時間になってから取組が始まることがほとんどです。

 

8. 軍配・両者一礼・勝ち名乗り

行司が勝者の側に軍配を指すことを「軍配が上がる」と言います。軍配が上がると力士たちは土俵際まで戻り一礼。勝者は四股名を呼び上げる「勝ち名乗り」を行司から受け、土俵を降ります。

 

9. 手刀(てがたな)を切って懸賞金を受け取る

取組に懸賞がかかっていれば、勝ち名乗りの時に行司から懸賞金が渡されます。この時に左・右・真ん中の順に手刀を切ります。これは五穀の守り神3人に対しての感謝を表す意味があります。

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