相撲の仕組み
力士になるためには、いくつかの手続きを踏む必要があります。入門したい相撲部屋の門をたたいたら種々の書類を揃え、部屋の年寄(親方)を通じて日本相撲協会に「力士検査届」を出します。その後医師の健康診断と新弟子検査に合格した後、晴れて力士としてのスタートを切ります。
入門する部屋の戸をたたくと言っても、親方やスカウト担当が全国、時には海外を地道に回ってスカウトしてくることが大半と言われています。今はどうか知りませんが、親と一緒に観光の名目で東京に来てそのまま入門なんてこともあったそうですよ。入門する部屋が決まったら、「親権者の承諾書」「本人の意思確認書」「戸籍謄本または抄本」「医師の健康診断書」「力士検査届」を部屋の年寄(親方)を通じて協会へ提出します。
最近はモンゴルやヨーロッパ方面からの外国人力士も多いですが、外国人力士の登録は部屋に1人までと決まっています。外国人が入門する場合は、「保証人2人連署の力士検査届」を出し、合格であれば「外国人登録証明書」を協会に提出して届出完了となります。
力士検査届を出した後は新弟子検査があります。無差別級の相撲の世界ですが、力士になるためには一応条件があります。
日本相撲協会では「167㎝以上、体重67㎏以上の義務教育修了から23歳未満の健康な男子」と定め、年齢制限内であれば何度でも受けられます。ただし、アマチュアや学生相撲大会などで相撲協会が決めた条件をクリアした25歳未満の男子も可。三月場所の新弟子検査に限っては、165㎝、65㎏以上の卒業見込みの中学生でも検査を受けられます。以前は体格基準が173㎝以上と今よりも厳しかったので、背伸びをしたり部屋の床山に髪の毛を盛ってもらったり、今では禁止されていますが頭頂部にシリコンを入れたなんていう仰天話も。
明らかにあかんやろ!と思いますが親方も身長測るのに夢中できっとうっかりしてたんでしょう。それでも合格できない力士には第二検査といってトライアウトのようなこともしていましたが、2012年に体格基準が緩和されてからはそれもなくなりました。その後の健康診断では、内蔵疾患の検査をされます。既に糖尿病になっていたりすることもあり、その場合は検査不合格となって治療後次場所で再検査となります。
大相撲には「付け出し」と呼ばれる飛び級制度があります。普通に入門すると前相撲から初めて序の口から番付をスタートさせるのですが、相撲協会の規定を満たしている力士は最初番付は付きませんが前相撲どころか序の口や序二段、場合によっては三段目もすっ飛ばすことが出来ます。十両以上にたまにいるざんばら髪の力士はたいてい付け出しでデビューした鳴物入りの実力者なんですよ。
三段目最下位格付け出しの条件は全日本相撲選手権大会・全国学生相撲選手権大会・全日本実業団相撲選手権大会・国民体育大会相撲競技(成年男子A)のいずれかでベスト8以上を収めた者と決められています。最近では朝乃山や豊山がそれにあたります。
三段目付け出しで挙げた4つの大会のどれかで優勝すれば「幕下15枚目格付け出し」となり、早くに出世できます。更に、全日本相撲選手権大会プラス他の3大会のどれかでタイトルをとれば「幕下10枚目格付け出し」となり、出世は更に早くなります。現在幕内で活躍する遠藤や御嶽海は幕下10枚目格、妙義龍や逸ノ城は15枚目格付け出しで、多くは大学相撲出身者です。ただし、付け出しが適用されるのは成績を収めた日から1年と決まっているので、大学2年生の時に学生横綱になった嘉風などは付け出しが適用されず前相撲からスタートしたという話もあります。
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