相撲の仕組み

親方の仕事

「親方」というのは年寄名跡を襲名した引退力士のことで、要は相撲協会の職員です。親方は相撲協会の運営を分担して行うほか、部屋で力士を育てなければなりません。相撲部屋を持つ親方は特に「師匠」と呼ばれ、相撲部屋の経営者でもあります。今挙げた職務以外にも相撲部屋の資金調達や運営、新弟子のスカウト、場所中の宿舎の確保など、やらなければいけない大事な仕事がたくさんあるのでとっても大変なのです。

親方の仕事

 

力士の育成

親方のメイン業務はなんといっても強く正しい力士を育成すること!稽古で厳しく指導して強くすることはもちろんですが、力士を一人の人間として育て上げる義務があります。中学を卒業したばかりの未成年もいたりするわけですから、親御さんに代わって一人前の人間を育てなければいけません。生活面では部屋のルールや門限を決めて守らせるのも親方の仕事。
親方だけでなくおかみさんも自分の子供のように力士の生活面を支えます。力士の他、行司・呼出・床山も部屋に配属されるので彼らの育成にも一役買っています。

 

相撲部屋の経営

体も大きくてたくさん動き、たくさん食べる若者を大人数養っているのですから、相撲部屋の食費や光熱費は半端な額ではありません。地方場所や巡業では移動費や宿泊費含め諸経費もかかってきますから、相撲部屋の経営も楽ではありません。相撲協会からは一門を通して貰える助成金の他、部屋の弟子の数に応じて場所ごと、つまり二月に一回にもらえる「部屋維持費」と「稽古場維持費」、幕下以下の弟子の数に応じて毎月支給される「力士養成費」、十両以上になれば年間決まった額の「養成奨励金」が出ます。これに加えて後援者の寄付や各種パーティーなどのご祝儀を部屋の資金としてやりくりしています。関取が多いと後援者からの寄付額も大きいので部屋も潤うのですが、関取が育たずスポンサーがつかなかったり後継者が育たなかったりで廃業に追い込まれてしまう部屋も多くあります。

 

スカウト

やはり親方になるからには強い関取を育てたいもの。親方は全国、時には海外まで足を延ばしてスカウトに東奔西走します。アマチュア大会に足を運ぶのはもちろんのこと、全国各地の後援者も大切な情報源。資金面だけでなく良い弟子をとるためにも後援者とのつながりは密にしておく必要があり、親方には社交性とフットワークの軽さも求められます。最近では少子化の影響もあり新弟子の数が100人を割っているので、スカウトの移動費を協会が補助していたりもします。もちろんスカウト以外からの入門も可能です。最近ではウェブページで新弟子希望者を募っている相撲部屋も多いですよ。

 

部屋付きの親方

年寄名跡を持っていても、部屋を興す条件を満たしていなかったり、部屋の継承や部屋を起こす下準備として師匠のもとで部屋経営のいろはを勉強したりする親方もいます。このように自分の部屋を持たず師匠の部屋に所属する親方は「部屋付き親方」と呼ばれます。
稽古場では力士に胸を貸してマンツーマンの指導をしたり、師匠が部屋を空ける場合は師匠に代わって稽古を監督したりもします。

 

協会の仕事

協会での親方の仕事も色々。土俵の審判など取組に重要な仕事だけでなく、巡業の日程調整や運営から本場所の警備・チケットのもぎりなど、随所で往年の名関取たちが裏方の仕事をしています。

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