相撲の仕組み
日本相撲協会は実は公益法人。「日本の伝統で国技である相撲を維持・発展させる」ことを目的として、1925年以来財団法人としていたところを2014年に公益財団法人に移行しました。
実際は興行という営利及び職業目的の相撲をメインで行う団体なのですが、若い世代への相撲の普及、相撲教習所・国技館・相撲博物館などの維持運営を事業の柱とすることを建前として公益財団法人として認められています。八百長や暴力問題でしばしば相撲協会が取沙汰されるのは、公益法人として疑問に思う人が多いからというのが根本にあったりします。
他にも各部屋を通して協会に登録されている力士・行司・床山を育成する形で相撲の伝統と秩序を守っています。
協会を構成している協会員は年寄・力士・行司・呼出・床山・若者頭・世話人など。そのうち運営を行っているのは外部からの数名と「年寄」と呼ばれる親方たちで構成される理事会です。
年寄は現役時代に活躍した実力者でないと年寄名跡は襲名できないことが殆どなので理事は有名な元力士ばかり。
5~7名で構成され、任期は4年。理事の解任・選任、定款(ていかん、相撲協会の規則のようなもの)の変更、役員の報酬の決定など他にも強い権限を持つので組織のクリーンさを保つために半分以上が外部有識者と決まっています。なので年寄が評議員になる場合は一旦年寄を引退して本名で評議員をして、それ以外の役にはつきません。
年寄と外部候補から10~15名の定員で選ばれます。年寄から選ばれる場合は全年寄の無記名投票の理事選挙で決まり、評議員会によって任命されます。貴乃花親方の理事騒動などはこの選挙のことです。
理事に選ばれると、いくつかの部署や委員会の長を兼任することが多いです。副理事は年寄から選ばれ、理事会で任命されます。
ちなみに月給は150万円ほどです。
理事の中から理事長が選ばれます。理事長が実質相撲協会のトップで色々と矢面に立ちます。
大体往年の名横綱が理事長を務めています。
国技館の2階、正面東側後方に監察室という部屋があります。そこで無気力相撲や八百長がないか目を光らせているのが相撲競技監察委員会です。委員は年寄の中から理事会によって選出・任命されます。
国技である相撲の技術・伝統を研修や相撲教室、出版物の刊行を通して伝承することを目的とした部署。部署と言っても、委員以下の年寄は全員所属していますから、「部屋や場所を通して各自頑張ってね」という意味も含まれています。
国内・海外に向けた広報業務全般を行います。最近ではTwitterやInstagramなどのSNSでも積極的に情報を発信しています。その他、報道機関への情報提供・映像制作・肖像権の管理などが主な活動内容。
親方や力士から裏方の呼出や床山さんなど協会員の診療が主ですが、実は予約制ですが一般の人も受診できます。
内科・外科・整形外科・理学療法科があり、国技館内にあります。取組中にケガをした力士はここに直行します。
本場所の取組編成・取組の審判・番付の編成が審判部の仕事です。委員の数は20名以内と決まっています。
文字通り力士の生活指導や、それに関して生じた問題などの対処にあたります。部長・副部長・委員の他に部屋の親方衆は全員所属するので、これも「委員会で決まったことを各部屋で適切にやりなさい」という意味でしょう。
新弟子を6ヶ月間(外国人力士は1年間)教育指導する機関です。
国技館で行われる本場所の運営をします。
地方場所の運営をします。
相撲博物館の運営を行い、相撲に関する歴史的資料の維持や保管、展示をします。出版物の刊行なども相撲博物館の担当。任期3年の館長は協会を引退したあとの横綱経験者が殆どで運営は理事数名で行っています。
地方巡業の運営をします。
2018年1月に発足したばかりの新部署です。災害被災地支援や地域貢献、福祉活動などの社会貢献をメインとして活動しています。
「横審」とも略されます。組織には含まれない諮問機関なので外部の有識者で構成されます。横綱の推薦や本場所前の稽古総見主催の他、現役横綱の成績や素行を審議して「激励」「注意」「引退勧告」を出したりするのも横審です。拘束力はないですが相当なプレッシャーでしょう。「引退勧告」は100%引退に繋がります。
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