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幕内力士が勝ち名乗りの時行司さんに渡されるのが懸賞金入りの懸賞袋です。結びともなると懸賞が何十本とつき、横綱が片手に持ち切れず両手で懸賞金を受け取っているのを見たりもします。懸賞金は1本62,000円。そのうち力士が直接受け取るのは30,000円で、5,300円が協会手数料、納税充当金として27,000円が差っ引かれます。半分以上持って行かれてガッカリですが、納税充当金の残りは積み立てられ引退後に退職金としてまとめて支払われます。
懸賞の歴史はなんと平安時代まで遡ります。この頃はお金ではなく勝者は織物や米などの現物支給。それが武家時代には弓や矢に変化し、江戸時代には自分の身に着けている羽織やキセルを土俵に投げ入れ、返却されるときに勝った力士にご祝儀をあげる「投げ纏頭(なげはな)」という風習になりました。この風習は旧両国国技館の開館とともに禁止され、懸賞は1933年から賞金に代わりました。現在の懸賞の申し込み条件は1日1本以上・1場所15本以上。懸賞を出せるのは法人や団体のみで個人で懸賞をかけることはできません。
勝ち力士は蹲踞の姿勢で左・右・真ん中の順に手刀を切って行司さんから懸賞金を受け取ります。
手刀の由来は古事記に登場する五穀の守り神3人に対する感謝の意で、1966年から正式な規則となりました。感謝の気持ちをこめて「心」という文字を書く力士もいるそうですよ。
力士が仕切りの動作をしている土俵の周りを呼出さんが持ってぐるり1周するアレが懸賞旗です。懸賞を出しているスポンサーが広告のために出していることが殆どですが、実は自前で作らなければなりません。サイズは幅70㎝・長さ120㎝と決まっていて、「文字は15字以内」「布製」「馬簾(ばれん)をつける」など条件が決まっています。
国技館で開催される本場所では、お菓子メーカーの森永製菓が「森永賞」というファン投票型のユニークな懸賞をかけています。当日の15時までにその日の楽しみな取組を来場者が投票し、得票数の多い取組に懸賞がかかるというワケです。森永製菓のお菓子の空き箱が投票用紙だったり、箱の裏に住所氏名を書いておけば抽選で3名にお菓子が当たるなど、ファンも楽しめる懸賞になっています。
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