相撲の仕組み
相撲で言う年寄は、一般で言うところの「おじいちゃん」的な意味ではありません。力士が現役を引退した後、現役時代に決められた条件以上の成績を残していれば、「年寄名跡」という年寄を襲名する権利を得ます。「年寄株」「親方株」と呼ぶこともあります。わかりやすく言うと「○○親方」の、○○の部分を名乗れる権利と思えばよいでしょう。
現役の力士でも年寄名跡を取得でき、名跡を貸している嘉風や勢などの現役力士もいるんです。現役で年寄名跡を持っている力士は引退後すぐに襲名という形がほとんど。現役時代に年寄名跡を取得していない力士でも、横綱なら5年、大関なら3年に限って四股名のままの年寄名を名乗ることができます。 年寄を襲名すれば協会に残って運営に携わりながら親方として弟子の指導に当たり、成績によっては自分の部屋を興すこともできます。
他のスポーツ同様力士も現役でいられる期間は短いですから、年寄として協会に残り定年までお給料を貰えることはとても魅力的なことなのです。年寄名跡は全部で105家あり、理事選での票を確保するため一門内でやり取りすることが基本です。
これにプラスして優勝回数20回以上を目安として継承権のない「一代年寄」を襲名する横綱もいます。一門を超えて年寄名跡を取得してしまうと、一門制度を軽んじているとして部屋や一門を破門になる事もこれまで何度かありました。年寄名跡は1つしか所持できないので名跡の所有者と襲名希望者間で金銭授受もあったりして、「財団法人としてその慣例はどうなんだ」という声も世間から出るこれまた闇の深い制度でもあります。
年寄襲名には成績以前の大前提として日本国籍を持っていなければなりません。外国人力士であれば、日本国籍を取得する必要があります。
そのうえで、
・最高位が小結以上
・通算20場所以上の幕内出場
・通算30場所以上の十両以上の出場(実際は名跡の前保持者・師匠・保証人の親方の願書があり、理事会で承認されれば関取在位28場所)
のうち一つを満たしていれば年寄を襲名できます。
ただし、既に存在している相撲部屋の継承者として協会に承認されれば、
・通算12場所以上の幕内出場
・通算20場所以上の十両以上の出場
でも年寄になれます。
部屋を自分で開くとなると条件は厳しくなって、年寄の中でも
・大関以上の経験
・通算25場所以上三役を経験
・通算60場所以上の幕内出場 のいずれかを満たしていないと自分の部屋は持てません。
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